答えは、自由で良い。
5秒で良いので、この絵をじっくり見ていただきたい。
あなたには、何が見えるだろうか?
空?色?ざらざらとした質感?そもそも論ではあるが「スマホの画面」だろうか?
「イラストレーション」という性質上、抽象的なイメージよりも、「これは"何"である」と具象的なモチーフが見出せて、人に伝わりやすいものを描くことが多い。
この絵も例外ではなく、私の大好きなニセコ の名峰・羊蹄山を描いたつもりだ。
ある日、羊蹄山の上に浮かぶ雲の形が愛くるしく、帽子の形に見えた。すると、山肌に見える山の窪みや雪形(ゆきがた)が園児服とそのボタンに見えてきた。
その後、すぐに雲は流れ去った。そんな移ろいゆく一瞬に着想を得て、この絵を描いた。
そしてパートナー・マイケル氏に描き上げた絵を見せてみると、白い物体は卵やUFOに見えると言っていた。
私に見えたものとは、まったくと言っていいほど被らないが、その違いがおもしろく、なにより自由に絵を見てくれたことが、私は嬉しかった。
山、UFO、卵、帽子、園児服......。私を含め、人はどうしても、それぞれの既知のイメージになぞらえて、ものごとを見てしまう傾向がある。
だが、それで良い、と現時点の自分は感じている。
大事なことは、「人がこう言っているから」とか「辞典に載っている定義はこれだから」という理由で、ものごとを見聞きし、決めつけないことだ。
自分の答えは、自分で定義づけして良い。
答えを出したければ出しても良いし、出さなくても良い。
自由で良い。
そんなことを考えさせられた、初夏のニセコのひとときであった。
P.S. ニセコ では曇り空が広がり、しかも週末は決まって天気が悪い日々が続いている。そんな時にこそ、このような内なる旅が楽しい。