ニセコ に住む人々 #01 プロ・スノーボーダー Eさん - 幸せの在り方は人それぞれ
このシリーズ「ニセコ に住む人々」では、私がニセコ で出会ったおもしろい人たちを勝手に紹介していきたい。許可をいただいているわけではないので、身元がわかってしまうほどの詳細は入れていない。(...し、そこまで彼らのことを深く知っているわけでもない。)
が、それぞれが「己のニセコ 」を楽しんでいて、おもしろくて、素敵な人たちばかりだ。
Eさん
Eさんは、アメリカ出身・ニセコ 在住の方で、前回のエッセイで、私たちに車を譲ってくれた人である。
人生初めての車(中古車)の購入を、知らない土地、知らない人から、しかも個人売買で行うことは、最初こそ心配だったものの、Eさんのおかげで不安は吹っ飛んだ。取引は、安心・スムーズそのものであった。
だって、我々はEさんのアパートまで出向いている!
そしてEさんは手を広げて「ずっとここ(アパート)に住んでるし逃げも隠れもしないから、何かあったらいつでも言ってね!」と言ってくれた。ことばを変えてみれば、「もう居場所まで教えてるんだから、信用してくれていいよ!」と言われているみたいだった。
とてつもなくオープンで、人当たりの良い好青年だ。
"You know what I mean?"
ところで、Eさんの口癖は "You know what I mean?"だ。日本語っぽく読めば、「ゆのわらみーん」。
英会話のなかで、カジュアルに使われる言い回しで、相手に対して「わかる?」「〜だよね?」といった相槌をもとめる時に使う。
Eさんの車に一緒に試乗させてもらった際、Eさんと、我がパートナーのマイコーさんの繰り広げる英会話は、頑張ればある程度理解し会話に入ることができるが、頑張らないと耳を素通りしてしまう。
私は引越し直後で疲れていたので、あまりがんばらないことにして、たまに相槌を打つくらいにして会話を聞いていた。
ただ、Eさんの放つ "You know what I mean?" は特徴的すぎて、途中から私はそれを数えることに徹し始めた。
「いやあ今年のニセコ は最高だよ、 You know what I mean?」
「この羊蹄山の景色は本当にすごいよ、 You know what I mean?」
「雪道の運転は大変だよね、 You know what I mean?」
といった調子で、約1時間のあいだに合計15回、 "You know what I mean?" を使っていた。
それを、後々マイコーさんに話すと、「そこまで気にならなかった」と言っていた。
私が "You know what I mean?" しか聞き取れなかったということですな、You know what I mean?
「シーズン」というライフスタイル
Eさんはスノーボード愛好家で、ニセコ で過ごすのは6回目のシーズンだと言っていた気がする。Facebookのプロフィール画像は、スノボで宙を舞っている姿だ。本格派である。(おそらく、スポンサーのついたプロだと思われる)
なるほど、季節とともに暮らす人々は「シーズン」ということばを使うのだということもEさんから学びとった。素敵な生き方だと思う。
Eさんは、WEBマーケティングのお仕事をしているそうだ。
コロナ禍のニセコ の現状により「仕事は減ったが、家賃は払えているし問題ない」とのことだった。そんなことよりも、人の少ないスキー場を心から楽しんでいる様子が印象的だった。
人が人生に置いて、何を価値としていて、何が幸せなのかは本当に人それぞれだと考えさせられる。
今年は人のいないゲレンデ に、例年にないどか雪。
これはいくら払っても、お金では買えない幸せだ。